介護現場のトラブルシューティング 事例別緊急時対応マニュアル

介護現場のトラブルシューティング

事例別緊急時対応マニュアル

事例1: 吸引中、痰が手についた!感染症のリスクあり!冷静に、確実に処理を。

✅ 対応手順

  • 落ち着く! 利用者の安全確保
  • 【手袋あり】
    ・手袋を外し、感染性廃棄物へ。
  • ・手指消毒(アルコール、石鹸と流水)
  • 【素手の場合】
    すぐに流水と石鹸で手を洗う。
  • ・アルコールで手指消毒する。
  • 血痰(血液混じり)が見られたら、必ず看護師に報告!(肺炎・結核・肺がん等のサイン)

❌ NG行動

  • 汚れた手で、周囲の物品や自分の衣服に触れる。

🛡️ 予防策

  • 処置ごとに手袋を交換する。
  • 事前に必要な物品(ゴミ袋、消毒液等)を準備しておく。
  • 手洗いの手順を徹底する。
事例2: 尿道留置カテーテルが抜けた!尿道損傷の危険!無理に戻さない!

✅ 対応手順

  • 手袋を装着し、利用者の痛み・出血・尿意を確認。
  • 抜けたカテーテルの破損がないか確認。(体内に残っていないか)
  • すぐに看護師に報告し、状況(いつ/どうして抜けたか、尿の状態、利用者の訴え)を伝える。

❌ NG行動

  • 自分で再挿入しようとする。
  • 尿バッグを膀胱より高い位置に持ち上げる。

🛡️ 予防策

  • カテーテルをテープで大腿部腹部に固定する。
  • チューブに「ゆとり」を持たせ、突っ張らないようにする。
  • 毎日チューブの位置を確認する。
  • 移乗・体位変換時はゆっくり動く。
事例3: 「めまい」を訴えた!転倒リスク大!まず安全な体勢に。

✅ 対応手順

  • 横になってもらう(臥位)。
  • バイタルサイン(血圧・脈拍・SpO2)をチェック。
  • 状況を確認(継続時間、めまいの種類、要因、付随症状)。
  • 【救急要請を検討】 30分以上続く/手足のしびれ・麻痺/激しい頭痛・嘔吐がある場合は、即医師・看護師へ報告。

❌ NG行動

  • 状況を確認せず対応する(種類によっては注意点・対応が異なるため)。

🛡️ 予防策

  • 急な動きを避け、ゆっくり動いてもらうよう声かけする。
  • めまいの原因(内耳性など)を情報共有し、適切な対応を理解しておく。
事例4: 糖尿病患者が突然ふるえ出した!低血糖のサイン!迅速な糖分補給を。

✅ 対応手順

  • 【意識がある場合】
    • 転倒しないよう椅子などに誘導する。
    • ブドウ糖10g(または砂糖20g)を摂取してもらう。
    • 経過観察する。
  • 【意識がない/朦朧としている場合】
    • 呼びかけて反応を確認する。
    • 横向き(側臥位)にして、救急車を要請し、家族にも連絡する。
    • バイタルを測定する。

❌ NG行動

    意識がないのに、無理やり糖分を口に入れる。(窒息の危険)
  • 果物やハチミツ(果糖)を与える。(血糖上昇が遅い)
  • 利用者から離れる。

🛡️ 予防策

  • 食事摂取量の観察を徹底する。
  • 低血糖兆候の早期発見。
  • いつでも補給できるブドウ糖を常備しておく。
  • 空腹時の運動は避ける。
事例5: 車椅子に乗せた直後、失神した!脳血流の低下!安全確保とバイタル確認。

✅ 対応手順

  • 車椅子から転落しないよう、体を支えブレーキをかける。
  • 呼びかけに応じるか意識を確認する。
  • 床に仰向け(仰臥位)に寝かせる。
  • バイタルサインを測定し、スタッフに応援を要請。
  • その場から絶対に離れない。

❌ NG行動

  • 慌てて体を揺さぶる。
  • すぐに座位や立位に戻そうとする。

🛡️ 予防策

  • 体位変換は段階的に行う(仰臥位→座位(バイタル確認)→移乗)。
  • 移乗後も1〜2分は見守り、様子を確認する。
  • こまめな水分摂取を促す。
事例6: 痙攣(けいれん)をおこした!窒息と怪我の防止が最優先!

✅ 対応手順

  • 外傷を確認する。
  • 衣服やベルトを緩める。
  • 痙攣の時間と様子を観察する。
  • 誤嚥・窒息防止のため可能であれば横向きにする。
  • 衣服やベルトを緩める。
  • 顔を横向きにし、唾液や嘔吐物による窒息を防ぐ。
  • 医師・看護師・スタッフ・家族への報告を行う。
  • 【救急要請を検討】 5分以上続く場合/呼吸がない場合/初めての痙攣の場合。

❌ NG行動

  • その場を離れる。
  • 口の中に指やタオルなどを入れる。(噛まれて大怪我 or 窒息の原因)
  • 慌ててすぐに救急車を呼ぶ。(通常は数分で治まる)
  • 揺さぶる(脳への負担増)。
  • 発作中のバイタル測定。

🛡️ 予防策

  • 処方された薬の飲み忘れがないか確認・声かけ。
  • 自己中断があれば報告する。
  • 脱水予防のため、水分摂取を促す。
  • 痙攣が起きても慌てないよう、対応をスタッフ全員で理解しておく。
事例7: トイレ誘導中、転倒して尻もち!圧迫骨折の疑い!無理に動かさない。

✅ 対応手順

  • 周囲の安全を確認し、利用者へ声かけ(意識確認)。
  • 痛み、腫れ、出血の有無を観察。特に背中や腰の痛みを詳しく聞く。
  • 2人以上で介助し、安全な場所(ベッド等)へ移動させ、安静にする。
  • 【動けない/意識障害がある場合】 無理に動かさず、救急車を要請

❌ NG行動

  • 慌てて一人で抱え起こそうとする。

🛡️ 予防策

  • 利用者に合った履物を選ぶ(スリッパ禁止)。
  • 動線上の障害物(コード、敷物など)を除去する。
  • 移乗・歩行時は見守りと声かけを徹底する。
事例8: 爪切りケア時に出血した!止血と感染予防が重要!

✅ 対応手順

  • 出血部位を確認する。
  • 清潔なガーゼ等で傷口を圧迫して止血する。
  • 消毒後に絆創膏などで保護する。
  • 利用者に謝罪と説明を行う。
  • 【特に注意】 糖尿病や抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を内服中の利用者は、必ず看護師に報告。

❌ NG行動

  • 出血したまま放置する。
  • 消毒せずに絆創膏を貼る。
  • 記録・報告を怠る。

🛡️ 予防策

  • 明るい場所で、よく見える体勢で行う。
  • 一度に深く切らず、少しずつ切る(スクエアカット)。
  • 巻き爪や爪が厚い場合は、無理せず看護師に相談・連携する。
  • 正しい技術の習得。